遊牧民ひろば@札幌 札幌市民交流プラザ SCARTSコート

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<写真展「遊牧世界の子どもたち」>
日時:2025年4月14日(月),15日(火) 11時~19時
場所:札幌文化術交流センターSCARTSモールC
入場無料
<遊牧民ひろば>
日時:2025年4月16日(水),17日(木),18日(金)
   13時~21時(18日は19時まで)
場所:札幌文化芸術交流センターSCARTSコート
入場無料

◎カザフ刺繍壁掛展 -カナットコレクション-
 カザフ人女性は家族の健康や幸せを願って、刺繍を一面にほどこした壁掛トゥスキーズを作ります。カザフ人の家に行くと、目映いばかりの壁一杯の壁掛に驚かされることでしょう。子どもたちはその想いがこもった壁掛けに見守られながら成長し、独り立ちするときにそれを持たされます。
 この刺繍壁掛はカザフ遊牧民の中で受け継がれてきましたが、機械刺繍が増えるに従い、刺繍技術は衰退し、生活様式の変化もあって壁掛制作者も徐々に減りつつあります。糸や布が手に入りにくい時代であっても、作られ続けてきた壁掛が、より作りやすくなった現代に到って、作られなくなりつつあると言う残念な状況です。
 そして、社会変化に伴って、生活様式も変わり、壁掛は市場で売られるようにもなりました。古いものは価値が高く、今では入手が困難になっています。
 そんな壁掛をたくさん観られる、また手に入れられる貴重な機会を企画しました。遊牧民女性たちが何を願い、どのようにそれらを表現し、刺繍に込めたのかに想いを馳せ、その想いを繋ぎ、紡いでいっていただけたら幸いです。 
《カナットコレクションについて》
 モンゴルが一党独裁制から複数政党制民主主義国家へと舵を切った1990年頃、カナット氏(故人:1995~2022)はカザフ遊牧文化の継承、伝承の危機を予見し、カザフ音楽、カザフ芸術、鷹狩り文化の保護に乗り出しました。遊牧地域で古い歌曲を歌い続けてきたクグルシン氏を支援、鷹狩り文化維持のためのイヌワシ祭を発案企画、遊牧民女性たちの現金収入を確保しようとカザフ刺繍製品の開発、販売をしながら、不要になった古い壁掛の蒐集をしてきました。「いつか大カザフ遊牧文化展を開催したい」と周囲に語っていたそうですが、残念ながら志半ばにして急逝されました。そして、ご遺族は氏と家族ぐるみでお付き合いをしてきた当法人理事長に「カザフ遊牧文化紹介に利用してほしい」と壁掛を託してくださいました。それがカナットコレクションです。

◎写真展「遊牧世界の子どもたち」
「10歳になったら大人と同じ」扱いをされる子どもたち…。厳しい自然環境の中で、大人顔負けでたくましく生きる子どもたちの様子を写真に収めました。可愛い子どもたちに会いにきてください。

◎ミニライブ「遊牧音楽の原点」
  いわゆる舞台演奏者ではないけど、腕は超一流だったり、超レアな存在というお二人によるモンゴル&カザフ民族音楽の真髄を今に伝えるミニライブが開催されます。遊牧生活の中で必要があるから故に奏でられてきた、歌われてきた本当の遊牧音楽を間近に聴くことができる貴重な機会です。特に、モンゴル国においてもわずか9名しか正式に認定されていない語り部による英雄叙事詩は必聴です!ステージプログラムには民話紹介「モンゴルの噺」も開催されます。モンゴル民話を遊牧民当事者目線で解説、紹介する唯一無二のライブです。
 
◎馬頭琴体験コーナー
モンゴル民族の伝統楽器馬頭琴とカザフ民族の伝統楽器ドンブラを自由にいじり回せます。弾き方の初めの一歩を伝授しますので、あとはお好きに~。(ステージプログラム中は出来ません) 
 
◎遊牧民雑貨市場&遊牧民カフェ
 会場では各種カザフ&モンゴル刺繍商品、フェルトストール、フェルトスリッパ、フェルト人形、アクセサリー、極暖靴下、オリジナルCD,DVDや写真集など遊牧世界を感じられる、観るだけでもたのしい雑貨がめじろおしです。また、現地で手に入れてきたレアなお茶(各種あります。会場で飲めます。お買い上げ後のセルフサービスです)も販売します。珍しい物尽くしの雑貨市場です!


<出演者>

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◎L.クグルシンカザフ民族楽器ドンブラ演奏,歌。(両日とも)
モンゴル国バヤンウルギー県在住。幼少の頃、ドンブラを弾き語る父親の傍らで音楽を学ぶ。約30年間を遊牧をしながら医師として草原地域で暮らし、土地の古老らから多くの歌を学ぶ。素晴らしい歌声が評判となり、演奏依頼が後を絶たず、第一文化功労者勲章を授与されるに至る。モンゴル地域のカザフ人に伝わる古い楽曲を知る希有な存在である。(2007~来日)
◎B.ボルド(両日とも)
モンゴル民族楽器馬頭琴をはじめ、様々な楽器を弾きこなし、喉歌(ホーミー)の使い手。モンゴル国アカデミーが認定するわずか9人の英雄叙事詩の語り部の一人。“聖なる英雄の叙事詩”は全編で28時間を超える。普段はモンゴル国バヤンウルギー県で普通に遊牧生活を営むが、讃歌(約2時間)を捧げるために山に登ったり、英雄叙事詩を詠唱するという生活を送るという不思議な存在。(2020年来日)

◎西村 幹也(司会進行、解説)
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NPO法人北方アジア文化交流センターしゃがぁ理事長。遊牧文化に魅せられ、モンゴル、カザフ、トゥバ民族の土地に30年以上通い続ける。現地での見聞を伝えようと、写真展、展覧会、文化講座、イベント、民話ライブ、コンサートなどを全国で開催している。t多岐に及ぶ活動がモンゴル国よってみとめられ2012年に友好勲章を授与される。「もっと知りたい国モンゴル」(心交社)他。大阪大学非常勤講師。